2012年02月11日 12:36
始まりは1本の電話だった。「桜がきれいに咲いてるよ」。昨年2月初旬、五つ離れた妹の平川昭子さんから、62歳の久貝英世さんは連絡をもらった
▼早速、妹の住むうるま市のヌーリ川を訪れると桜並木が一斉に満開を迎え、水面が花を映して赤く染まっていた。久貝さんは美しさに心震えた。でも残念なことがあった
▼ギンネムや雑草が人の背丈よりも高く生い茂り、せっかくの景色を台無しにしていた。翌年の開花までに何とかしたい。きょうだいは地元の赤野公民館、市役所を訪ね、協力を求める。気持ちを受け止める人が次々と現れた。みんな荒れ果てた光景を心苦しく思っていたようだ
▼8月にはヌーリ川桜会が発足し、月に1度の大がかりな草刈りが始まる。住民、市役所職員、高校生、企業の従業員ら手弁当で集まった人々は延べ500人以上。壊れていた柵も補修され、今年1月末の作業で、305本の桜の木々が足元まで姿を見せた
▼兄と妹は「私たちの力ではどうすることもできなかった」と感謝する。そして今月4、5日。第1回の桜まつりが開催された。訪れると、花のほころびは十分ではないが、集まった人々に笑顔がこぼれ、多くがまつりの継続を望んだ
▼今月末には若木100本が植樹される。桜だけでなく、共鳴した人の心にも豊かな花が咲いているのを知り、こちらまで心が温まった。