2020年01月14日

家族を想うとき

家族を想うとき

沖縄タイムス[大弦小弦]「宅配の不在通知、再配達の負担を掛ける心苦しさ」を読んで映画を観に行った。
覚悟をして観に行ったがインターネット端末に全ての行動を管理されている。車から2分離れると警告音が鳴る。配達時間の管理は人の生理にもお構いなしだ。

宅配ドライバーは少しでも上りを多くする為に会社のバンを使わず持ち込みする事によって利益を得ようとする。バンを購入しFC(フランチャイズ)契約する。そのバンを買う為に介護士をしている妻の日産マーチを売って頭金にする。全て家族の豊かな暮らしのためだ。

車がなくなった妻は掛け持ち介護の移動をバスに変わる。バスを待つ時間は賃金に反映しない。全てが暮らしを豊かにする為だ。

見失いがちの人にとって何が大切なのかを幼い娘からの抗議の行動も、娘が考える家族のあり方の問いかけでもあった。過重な労働環境の中で一生懸命働く夫婦の姿は豊かな暮らしの為にと想う家族の幸せの想いからだ。

2分間車から離れると警告音が鳴るシステムを開発したプログラマーはドライバーの100倍の賃金を貰っているのだろう。一方のドライバーはペットボトルを尿瓶の替わりに使い、時間を節約しコンピュータに管理されている。

IT化する事によってグローバル化した市場を勝ち抜くのだ。全て豊かな暮らしの為とだと。

覚悟はしていたが、辛い現実の中で喘ぐ自分の分身をみているようだった。

以下「大弦小弦」より。

「宅配の不在通知、再配達の負担を掛ける心苦しさ」

買い物に行く手間が省けるため、家族でネット通販を利用する。在宅時間がまちまちでポストの不在通知を見ると、再配達の負担を掛ける心苦しさが募る

公開中の映画「家族を想うとき」は、過酷な労働環境で懸命に働いても報われない英国の家族の物語だ。主人公はフランチャイズの宅配運転手。独立した個人事業主の名の下、厳しいノルマや罰金制度にがんじがらめになっていく

パートタイムの介護福祉士として働く妻も、過密なシフトで2人の子どもとゆっくり話をする時間もない。家族のために働いているのに心身の余裕がなくなり、家族の絆がほころんでいく葛藤を描く

長年一貫して労働者や移民に焦点を当て、不公平な社会を問うてきたケン・ローチ監督(83)の怒りが、そこかしこにあふれる。矛先は、グローバル社会を生きる一人一人にも向けられていると感じた

ネットで物が買える時代、消費する側の意識も問う。フランチャイズ契約を巡っては日本でも昨年、コンビニの加盟店主から「名ばかりオーナーで営業時間も自由に選べない」などと不満が噴出。24時間365日営業の原則見直しにもつながった

利便性を求めるあまり、主人公のような労働者にしわ寄せがいく搾取の構図。「人の人生を狭まるような世界を望んでいるのか」。巨匠の言葉が重く響く。(大門雅子)


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Posted by 高橋進 at 23:35│Comments(0)映画・音楽
 
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