2012年01月11日

『テンペスト』と『トライメライ』

間もなく3Dの映画『テンペスト』上映される。先日、奄美大島出身の友人から電話が掛かって来た。友人は会社のある渋谷駅で電車を待っているちょっとした合間に僕に電話を掛けて来たのである。『テンペスト』には、奄美大島のことが一つも描かれていないとちょっと不服そうなことを言っていたが、何度も沖縄に行っているが、首里城にも沖縄の歴史にもあまり興味が無かったが、NHKBSの「テンペスト」を全編録画して、それを観たとの事で、さらに、小説『テンペスト』も上下巻買って読んでいるとのこと。

この「テンペスト」には、奄美大島群島も宮古諸島も書かれていないのだが、池上永一氏のプロフィールによると1970年那覇市生まれ、のちに石垣島へ。94年に早稲田大学在学中に「パガージマヌパナス」で第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞。96年『風車祭』が注目される。沖縄の伝承と現代社会を融和させた独特の世界を確立し、2008年の『テンペスト』はベストセラーとなる。

池上さんは那覇高校出身だったと記憶しているが、池上さんの同級生が確か那覇高校出身であったので、勝手にそう思っているだけかもしれないが。小説『テンペスト』を是非、漫画にして世界へ発信したらと、当時、県の事業で漫画コンテンツ事業を立ち上げた知人に言ったのだが、今一つ、この小説の魅力が伝わらなかったのは残念でならない。まあ、角川書店が出版元なので、一筋縄では行かないが、せっかくの漫画コンテンツ事業での1年間の成果として『テンペスト』の漫画化は取組み甲斐があるのではないかと思ったのだが。事業そのものが県の事業として決定した時には、既に、何を題材にした漫画を沖縄から発信していくのかが既に決定をした後での提案では、そちらに梶を切るのは難しい。若年層の雇用と漫画家やアニメーターを目指す若者の「夢」を実現するには、まずは、雇用だ。そして、もう一つ重要なのは継続して仕事を作り出すことなのだ。

僕は、小説『テンペスト』の漫画化と、女の子に愛されるキャラクターの開発を進言した。普通の女の子が変身することによってマジックパワーを駆使して悪を懲らしめる沖縄の女の子をキャラクターとしたアニメーショの制作をと提案した。

30人近くの若者を1年間といった短い期間であったが、夢の漫画家への一歩と雇用を生み出したことに大きな価値があるのではないかと思う。

どうも今年のブログは、しょっぱなから、まとまりに欠いている感じがする。

『テンペスト』と『トロイメライ』についてある共通することについて書き始めたのだが、話が色々脱線をしてしまう。

この二つに共通する色彩感覚だ。亜熱帯の沖縄の圧倒的な自然美の中で培われた美意識といえるものが、いとおしく描かれていることだ。失われた多くの自然と、失われた多くの景観。

『テンペスト』の描写の中で、僕が20年近く住んでいた首里・儀保町の直ぐ裏の山にある末吉杜の石畳を歩いていると、かつてこの地にあった寺から真鶴の息子が飛び出してきそうな錯覚に陥る。こんなに身近な所が小説の舞台になっていることに、くすぐられるような感覚に笑みがこぼれる。

そして、『トライメライ』の意ともいえる。おもちゃ箱やお菓子の箱の中で極彩色の亜熱帯琉球王國とその登場人物達が織り成す物語の舞台は、僕が40年間暮らす那覇と首里が舞台の物語である。



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Posted by 高橋進 at 15:00│Comments(0)映画・音楽
 
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