2016年01月05日

フランス5月革命とLRT

新年明けましておめでとうございます。

フランス5月革命とLRT


DFSの横を走るLRT トラムで未来をつくる会より

新年早々、1月2日(土)午後6時から「フランス5月革命とLRT」をテーマにして番組を放送いたしました。
このテーマは「始まっている未来」 新しい経済学は可能か 宇沢弘文、内橋克人鼎談集
第4回新しい経済学の息吹p.107~109 
宇沢
フランスの60年代の学生運動を受けて社会が一つの反省期に拝いた時期です。<中略>
60年代の学生運動の焦点は、パックスアメリカーナに対する激しい抵抗、批判だったのです。
戦後ドゴール政策はアメリカに対抗しているような印象を与えていますが、実はパックスアメリカーナ
の流れのなかんに組み込もうとしたわけです。

ドゴールは1軒の家に必ず一台の自家用車を持つことを大きな目的に掲げて、旧市街に自動車が自由に
入れるようにした。同時に高速道路網をつくって自動車の普及を促進する。ルノーをテコ入れして、産業的
に支持、支援する。それが、50年代の終わりから60年代、ちょうど日本の高度成長期に当たる時期に、
非常に混乱をもたらしたのです。目に見える形では、旧市街に自動車が入って街を壊していくと同時に、
人間の生き方も極端にアメリカ的な方向に傾いていった。それに対してフランスの学生たちが批判的な
動きをしていくわけです。そのクライマックスが1968年の「5月革命」です。グルノーブルが一つの拠点
だったのですが、ここはパックスアメリカーナの被害がいちばん大きく受けた街でもあった。中世以来の
古い街並みに自動車が無秩序に入ってきて、街が壊されると同時に、経済的にも追い詰められていった
のです。

そのグルノーブルで80年代に新しい動きが始まる。基礎となったのは、一つはミッテランの地方分権政策
です。かつてフランスは中央集権的な官僚国家だったのが、ミッテラン時代に信じられないほど地方分権
化が進んだ。象徴的なのが、エリート校を出た人たちが中央官庁の官僚になるよりも、いつの間にか
地方自治体で働くことに生きがいを見出すに大きく焦点が移っていったことです。フランスの都市は
わりあい小規模ですから、大きな一つの都市の周りの20ぐらいの町村も一緒にして、広域地方自治体
をつくる。そこに都市計画や地方の公的な計画立案して実行に移す権限を与えて、交通税その他の
税源も委譲する。そこにエリート校を出た優秀な人たち、特にエンジニアが集まる。

フランスは歴史的にも工学系のエンジニアが、都市計画や社会計画の中心になるなるですね。法学部
出身ではない。
<中略>
こうして、80年代から90年代にかけて、フランスの町が様変わりする。その核心は、街の中心部から
自動車を締め出したことです。そして、人々はループ式の市電とバス、自転車で移動する。フランス人
は遠く郊外から自動車で通勤しますから、市電の駅には必ず駐車場を設けて、一日中自由に使える
回数券を同じ自動車に乗っている人数分発行する。そういう仕組みとか緑を増やすとか、高層の建物
は原則禁止といったような、きめ細かい政策をとって、10年から20年の間町が全く変わっていく。
町全体が活性化して、緑が多く、本屋や喫茶店があり、人々が歩いているような、かってのよき時代
のフランスの町になったのです。


長い引用になりましたが、フランス5月革命が現在のフランスの景観をつくりだしたことが解ります。
LRTを走らせるということは、パックスアメリカーナが作り出した価値観や車社会と決別し、本来
沖縄がもつ価値観をもとに、未来に向けた町づくりにあるのではないかと考えます。





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