2016年04月18日

貧困シンポ 「椅子取りゲームのような社会」 加藤彰彦(沖大名誉教授)

加藤彰彦

「椅子取りゲームのような社会」加藤彰彦氏は、今の沖縄の貧困の
原因にこのような社会が背景にあると発言をした。

2016年4月14日(木)沖縄タイムスホールでのシンポの基調講演
「希望をつむぐ つながりの再構築」の中での発言だ。

講演にさきだち、レジュメが配布された。

Ⅰ子どもは、私たちの未来
 1.こどもを大切にする島
   ・離島を歩いて考えたこと
 2.日本化する沖縄
   ・おとなになれない時代

Ⅱ貧困が未来を奪う
 1.生活に困窮する(くらしの再生ができい)
   ・家庭生活(経済)の崩壊、」精神と肉体の崩壊
 2.貧困者の生活構造
   ・稼動力の喪失(夫の死亡、病気、失業、離婚)

 
Ⅲみえてきた子どもの貧困
 1.子どもの貧困率(29.8%)
   ・低所得、ひとり親、貧困の連鎖
 2.社会全体で子ども支え、育てる
   ・学校、児童館、学童クラブ
    (子ども食堂、学習支援、子どもシェルター)
   ・就学援助から無償化へ
 3.潜在的能力の支援
   社会的つながりの再構築とソーシャルワーク(サポート)

基調講演
沖縄で2004年に、父親が子どもの命を奪う虐待死が起きた。その後、
中学生が仲間を殺す事件もあった。加害者側の燃焼しきれないストレス
やイライラがある。

子どもは普通、成長して大人になっていく、大人になるには3の条件がる。
1.大人とは「仕事」が一人前になること
2.子どもを生み育てることが出来ること
3.社会や対人関係のなかで色々な意見があるが妥協、解決することが
  できること。

今は大人になれきれていない親が出てくる時代になった。
戦後70年の間に、お互いに支え合い、教え合う生き方から、自分だけはい上がり、
人に力を貸さない生き方が徐々に沖縄の社会に染めこんできた。

椅子取りゲームのような社会ができあがった。

そんな中、私たちの暮らしに貧困が入ってきた。
貧乏は物はないが、人とのつながりで生きられた。
しかし、貧困は貧しい中で相談できる人がおらず、孤立していく。
貧困は経済的な貧しさと、冷やかな人間関係で孤立し、希望を打ち砕く。
貧困で精神的にも立ち直れない状況になると、経済的に補てんしても
回復しない。

今の日本の生活保護世帯は156万世帯、214万人。
生活保護だけを見ても戦後最大の厳しい状況だ。
実際には、生活保護の受給基準を満たす年収200万円以下に
もかかわらず、保護を受けられない人がいる。

沖縄は昨年、都道府県で初めて貧困の実態調査をした。
沖縄の貧困率は29,9%。全国平均の2倍という厳しい状況だ。
低所得が大きな理由で6割が貧困状態。貧困の世代間連鎖が起こっている
ことも明にないなってきた。

子どもが小学校から大学まですべて公立高校に通うと1千万円かかるが、
最初から椅子に乗れない子どもがたくさんいる。貧しくっても我慢している
子どもたちがいる。子どもたちの話を聞かない限り見えてこない現実がある。

沖縄の救いは保育園や学童クラブ、児童館などの施設があり、子ども食堂
が18か所以上できたこと、弁護士による子どもシェルターも開設した。
県は30億円を使って貧困対策するが、漏れ落ちる子がいる。民間の支援を応援しないと
いけない。支援が広がれば、ちゃんと制度になる。

貧困の最大の原因である低所得や「仕事がないこと」の解決は大事だが、
同時に、子どもを支えていく輪をつくることが重要だ。
今、子どもたちが地域で安心して暮らせる居場所を本気でつくることが、
私たち市民ができるいちばんの貧困対策。地域の共同性の再構築することが大切だ。



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Posted by 高橋進 at 13:26│Comments(0)講演会
 
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