2016年09月13日

地消地産 沖縄の経済自立とは何か

娘婿が北谷の商工会青年部の活動で佐賀県に視察旅行に行くという話から、
北谷の地域活性化について話が発展する。

丁度、20年前に僕が沖縄観光コンベーションビューローで観光政策を立案して、
沖縄の経済自立について関係者を集めて会議をした時の事だ。

基地経済からの脱却が命題の沖縄県にとって観光収入が基地収入を上回り、
リーディング産業としての観光を位置付け沖縄の経済自立に向けて会議の席上、
沖縄に観光に来県する食事についてJAやJF(漁協)に訊ねた。

多くの観光客の食事を地元産でまかなえきれるかとの質問に、担当者は
大丈夫ですと答えた。

国外・県外からの食材をちゃんと確保してあるとの話に、質問の趣旨が解って
いないのではないかと・・・。もう一度同じ質問をしたら、同じ答えが返ってきた。

「地産地消」ではなく、「地消地産」。「地」元で「消」費されるものには極力「地」元「産」を、ということである。


9月4日タイムスの藻谷浩介の着眼大局 観光収入地元還流が鍵の中で、
スイスの観光立国戦略について沖縄が学べきであると指摘している。

スイスは、
国際競争力:1位
観光競争力:1位
技術革新力:1位

一人当たりGDP:4位

面積は日本の九州より小さい。

ちなみに日本は
国際競争力:9位
観光競争力:14位
技術革新力:22位

一人当たりGDP:13位

日本がすごかったのは昔の話のようですね。
スイスは人口:795万人であるが,それを上回る年間850万人もの観光客が訪れる。 
国民の雇用の相当部分は観光関連産業が担っている。

スイス・ツェルマット在住の観光カリスマ山田圭一郎氏の提言しているのが「地消地産」。
スイスの観光事業者は、高品質なサービスを長期滞在客に提供して客単価を上げ、
そのお金を高価な地域産食材や建材の購入に回す。代表的なお土産である時計やアーミーナイフ
もことごとく高単価の国産品だ。

その為、観光産業の稼ぎの多くが地域内の商業、農業、建設関連に還流し、地域経済を支えている。
国民も所得水準が高いので、安全性や品質の高い国産食品を選らんで買う習慣がる。

20年前の会議の席上で、僕はこう質問をしたつもりだったのだ。
沖縄では観光客に、高い輸送費をかけて運んできた島外産の食材を提供することが
普通になっているが、県民の消費しているモノは、多くは内地産かアジア産だ。せっかく観光
で稼いだお金が、あっという間に島外に戻る構造になっている。

必要なのは稼ぎをもっと増やすことではなく、稼ぎをもっと地元に回すことだ。
その意識がなければ、ハイテク工場ができようと、IT産業が振興しようと、
国際物流基地だのカジノだのができようと、経済自立は果たせない。

逆にいえば観光事業者だけでもやり方を改めて行ことで、自立度は大きく高まる。
県民が、支出の1%でも「シマ」と名の付く物に回すようにすることで、さらに大きな効果が
生まれるだろうと藻谷浩介氏は指摘をしている。

20年前に県民支出の1%を毎年の数値の目標にして経済自立を目標にしていたら、
20年後の今日。沖縄経済は大きく自立に向かって舵を切っていたはずだった。

北谷の地域活性化の目標として、地元に展開するホテルや飲食店に対して、この
1%の「地消地産」から始めては如何だろう。


タグ :藻谷浩介

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Posted by 高橋進 at 19:47│Comments(0)地域活性化
 
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