2011年11月05日

頑張れ日本酒 祝!再建「新澤醸造店」

東日本震災で酒造場の蔵が全壊して、一時、蔵の再建を断念すら考えていた日本酒の蔵元から嬉しい便りが届いた。宮城県の新澤醸造店新澤巌夫氏からの便りだ。創業138年の伝統と「究極の食中酒」というコンセプトを両立し新しい一歩を歩み出した。本当におめでとうございます!!

日本酒は「夏子の酒」がテレビ放送された20数年前まで、2000軒近くの蔵元があったが、この20数年で600軒とも言われるほどに減ってしまった。時代の流れだから仕方がないといわれる人もいるが、決してそれだではない。日本酒は長い間、日本の税収を支えていた。昭和28年の日本の税収の50%以上の財源が日本酒であった。日本酒によって、戦後荒廃した国土を造る為に、日本酒の税収が使われた。道路や橋が造られ、日本国のインフラ整備を支えたのが日本酒の税収といえる。

しかし、この税収の確保といったことを目的としたことによって、級別制度が戦後長く続いた。その間に悪名高い「三増酒」といった清酒とは似ても非なる酒が清酒として生産し続けられた。この「三増酒」読んで字のごとくアルコール等合成清酒的要素の酒で、清酒を三倍に増やした酒である。勿論、元の清酒に三倍の水を加えたら味がすっかり薄くなるので、焼酎などのアルコールを添加したり、ブドウ糖、水飴、味の素などを加え、甘味、酸味、うまみを整えて純米清酒の実に三倍量の酒を造り出すといったことが行なわれている。大手清酒メーカーはコストが安いし、簡単に量産が出来るため、一度、造り始めたら止めることができなくなる麻薬のような清酒今も造り続けています。

その影響は、後の日本酒を取り巻く環境に大きな禍根を残すことになります。皆さんは「2級酒」とか「1級酒」とか「特級酒」というのはご存知ですか。級別制度は平成4年に半世紀に及ぶ日本酒級別制度が幕を閉じました。この級別制度とは酒税の税率の違いだけで、品質などとはほとんど関係がないのですが、贈答品で貰った地方銘柄の素晴らしい大吟醸を贈られて来たとしても、級別について何も知らないときには「何だ二級か」という事で、せっかくの贈り主の心も通じないといったことがよく起きました。

税金が一番高いのが特級で次に一級、二級という事ですが、この級別によって消費者は品質はともかく税金が高い分、清酒に税金加算されて分、高い酒という事で、高級といった認識が一般的で、地方の蔵元は大吟醸で二級として販売して、課税の負担を少しでも減らし地元のお客様によりよい品質の清酒を安く提供を続けていました。地方の二級酒の中に、有名ブランドの特級、一級酒しのぐ美酒、名酒が存在し、後に地酒ブームが起きることは承知の事実です。

「三増酒」は不幸な戦争と食糧不足の落とし子ともいえる酒でした。甘ったるいベタベタした酒が日本酒として、今日まで延命させてきた灘・伏見の大手清酒メーカーの姿勢が、今の日本酒の禍根ともいうべき衰退に繋がっています。また、半世紀にわたる「級別」が品質とはまったく関係のない税収というものによって
決められていたという事実が重なり、今日の清酒の衰退という事態をより深刻なものになってしまいました。

フランスのワインは農水省の厳格な基準によって、土壌や葡萄の品質そして醸造をチェックし、フランス国内をはじめとして世界中に輸出されています。1935年に制定された「原産地統制呼称法」 (A・O・C=Appellation d'Origine Contorolee)に基いてつくられたワインを言う。

この法律は、優れた産地のワインを保護、管理することを目的にしており、 政府の機関(I.N.A.O=全国原産地名称協会)によって諸規制が定められ管理されています。つまり、最高の品質を保つ為に細かい基準が設定されています。

しかし、、日本酒はどうだろうか。何度も記すが半世紀におよぶこのような状況の中でさえ、地方の心ある酒蔵家が一生懸命守り続けた伝統ある名酒を造り続けているという事実を知ってもらいたい。その多くは米どころ東北に存在している。未曾有の大震災の中で多くの蔵元が地震や津波によって全てを失うといった状況の中で、新澤醸造店は先にも触れたが、蔵が全壊し一時は酒づくりを止めようかとも思った。その再建に二億円ともいえる資金が必要だった。しかし、ついに、再建を成し遂げたのだ。

日本酒の新しい可能性について新澤巌夫氏は妥協のない姿勢で挑み続けた。そして、ついに「究極の食中酒」銘酒伯楽星を造り出した。再建は、困難の壁が高くそびえ立ったかに見えたが、不屈の闘志でこの壁を希望の扉へと変えたのである。小さなリーフレットに手書き文字で「一歩前に進む事ができました。」と・・・。

確かにメッセージを受け取りました。本当におめでとうございます。

わが民族の酒ともいえる「清酒」が、日本の誇る醸造酒(Japanese-Sake)として世界で認知される日の来ることを蔵元の再建と共に一日に早からんことを願うものです。

頑張れ日本酒 祝!再建「新澤醸造店」



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Posted by 高橋進 at 11:37│Comments(0)酒 日本酒
 
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